A型看板に見る、ベーシックという名の先進性【寄稿コラム】


皆さんはA型看板というものをご存知でしょうか。

 

と、いきなり問いかけるのにはわけがあって、今回このA型看板についてのコラムを依頼されるまで、私もそれがなんのことだかわからなかったからなんです。

 

 

で、結局A型看板というものが何だったかといえば、実はごくごくありふれたもの。
しかし、今回このA型看板についての文章を書く中で、私はこのベーシックなものの中にこれからの時代に合った先進性を見つけたのである。
と、大上段に構えるほどのことでもないのですけどね。
でも、これからの路上マーケティングにおいて、結構重要な事だと思うんですよね。

 

 

A型看板とは何か

 

 

A型看板の有用性について語ろうというのだから、とりあえず、まずはA型看板とは何かについて知らなければいけませんよね。
A型看板とは、簡単にいうと街でよく見るあの二つ折りの三角形の看板です。

 

「型」を取ってA看板とも言うそうです。
ちょっとお洒落なカフェから街の不動産屋まで、様々な業態のお店が店の入口などに設置してある、取り立てて珍しくもないあの看板です。
ね、言ったとおりごくごくありふれたものだったでしょ。

 

つまり、A型看板のAとはタイプ別にA型とかB型とかがあるというわけではなくて、横から見たときの見た目、あの形のことなんですね。
なんか若干だまされた感はありますが、でも、まぁ、わかりやすいといえばわかりやすい、それがA型看板です。

 

 

これと言って説明の余地が無いほどのオーソドックスさ

 

 

で、このA型看板について文章を書くわけなんですが、まあこれが簡単ではないわけです。
というのも、これが、新開発の新しい機能を備えた新製品というのであれば、やれこの部分がすごいとか、ここに脅威の新発想が、なんて書けるわけです。
しかし、物はA型看板。

 

もうびっくりするほどシンプルな作りのよくある形ですから、当然新発想なんてあるはずもありません。
そりゃね、材質が木だから趣があるとか、アルミだから軽いとか、ちょっと他と違って折りたたみがしやすいとかいうマイナーなセールスポイントはあるでしょう。

 

しかしその根本のシステム、というかそのフォルムに関しては、それこそ人間が看板というものを考えついて以来、どこの国にも自然発生的に発生してそうなオーソドックスさ。
新しいポイントよりも、その歴史に触れたほうが良いくらいの、ザ・スタンダード。

 

こう言っては何ですが、小さな子供に紙を渡して「これで看板作って」といえば、三人に一人は作りそうなくらいベーシック中のベーシックなんですから、そこに説明の余地はないですよね。

 

 

どこに行っても見かけるありふれた感

 

 

で、そんなA型看板、形がシンプルでベーシックなうえ、見かける頻度も頻繁でどこにでも有ります。

 

街を歩けば、それぞれの店の入口あたりに、ヘタをすると3件に2件くらいの割合であったりします。

 

そのお店というのも、若者に人気のエステから、結構大手の通信会社、おしゃれなカフェから、おじさん御用達です若い娘は入らないでください感を醸し出す焼鳥屋まで。

 

そういえば、献血の行列の横でも見たことがあるような記憶があります、この看板。

こうなってくると、もうその、使用している店の種類は、様々というか無制限です。

 

しかも、それを見かけるのは何も路上だけではないですよね。

大型スーパーや郊外型ショッピングモールの店内でも見かけます、公共施設の中にあったりもしますし、病院の中にあることも有ります。

 

もちろん固定店舗だけではなく、移動販売車のような移動店舗の前にだって有ります。
そういえば、以前旅行で行った漁港の朝市で、こっちで海鮮丼売っていますよなんて道案内で立っていた看板も、たしかアレはA型看板。

 

個々個別で見れば何の変哲もない風景の一部ですが、よくよく考えてみたらこれはすごいですよね。
おしゃれなカフェから公共機関から移動販売車から、なんと漁港の朝市まで。

 

路上有り施設内有り、催し物から何からありとあらゆる場面で見つけるそれは、もはや日本の風景そのものだと行っ言ってもいいほどのありふれてる感ですよね。

 

 

でもそれってすごいことではないかと

 

 

いつの時代に出来あがったのかわからないほど簡単なフォルムで、日本中どこにも当然のようにある、ありふれた感。

 

どこかに度肝を抜く用な新機能がついているわけでもなく、21世紀の世の中において最先端のテクノロジーが使われているわけでもない、タブレットと連動したりもしない。
ほんとうに、まったくもってありふれた単純な看板、それがA型看板。

 

でも実はそれって、すごいことなのではないかな、と思うわけです。
今の世の中、その変化のスピードは早く、きっと有史以来人間が経験した最も時代の流れの早い時代と言っても過言ではなく、新製品や新機能も、すぐ時代遅れになりますよね。

 

そんな時代の中、色んなものが目新しさと奇抜さを競うように現れては消え、そしてまた現れるを繰り返しているわけです。
そこにこの、A型看板。

 

何の変哲もないこの看板は、そんな移ろいの激しい時代の中で、風景の一部になるほどに普及しているわけなんですよ。
呆れるほど、普通のものとして。

 

それって、かなりすごいことだと思いませんか?

 

 

これ以上進化する必要のない、完成形。

 

 

日本の風景に同化しているほどのA型看板。

 

それは、言い方を変えれば、それほど色んな人が、いろんな業種が、そして色んな場所でそれを求め、そして、その効果を発揮しているということです。
看板としての効果がなければ、誰もそんなもの使わないのですから当然のことですよね。

 

しかもなんの新機能もついていないのにこれほどたくさん使われているということが、実はA型看板の脅威の能力を証明していると言って良いのです。
たとえばA型看板は、道行く人にとって、どちらから接近してもその看板に書いてある内容を読むことができます。

 

しかも、その目の高さよりもかなり低い位置にある看板は、ちょうど少し遠くにある時に目に入りますから、思いの外遠くから訪れる人に内容をアピールできます。
看板を出す側から考えれば、A型看板ほど設置の楽な看板はありません。

 

折りたたみができて運びやすく、重くもないので女性店員でも軽く持ち出せますし、場所を変えるのも簡単。

 

そこに表示したい内容も、今では看板の内容だけポスターのように張り替えることができますし、そこにポップを貼って飾り立てることもできる。
三角形のその形は、風に強く、安定感も抜群。

 

もちろん、いくら材質の良いものにこだわったとしても、その値段はそれほど高いものではありません。
よく目立って、設置が楽で、風に強く、そして安い。

 

つまり、A型看板のありふれたその姿は、あまりに機能的で合理的なせいで、こんなに時代の流れが早くなって今の世の中にあっても、それを超えるものが出てこないということなんです。
そう、それは進化の必要のない、いわば完成形なんですね。

 

 

まとめ

 

 

もはや日本の風景の一部というほどに普及しているA型看板。

 

どんなに時代が進もうとも、世の中が変わろうとも、当たり前のようにそこにあり、そして役に立つA型看板。
場所を選ばず、業種を選ばず、内容を選ばず。
その脅威に汎用性と、使いやすさと、そしていつまでも使い続けられることが証明するその効果。

 

むしろ、それは、遠い昔誰かが考えついた脅威の先進性であり、そして、未だにその効果を発揮するベーシックであることの強み。
A型看板、その小さな姿に秘められた力と凄さ。

 

侮りがたいものだ、と改めて感じさせてくれる、でもやっぱりありふれたなんの変哲もない看板です。